【タイトルとあらすじ】
陰日向に咲く(2008)
劇団ひとりの小説。幻冬舎より2006年1月に刊行。 平川雄一朗監督で映画化され、2008年1月26日に公開された。
東京に暮らす“どこか日の当たらない”9人の人々が、一生懸命生きようとする姿を描く笑いと涙の群像ドラマ。夏の日の東京。
ギャンブルから足を洗えず、借金まみれのシンヤ(岡田准一)は、オレオレ詐欺に手を染め、老婦人をだまそうとする。しかし、その老婦人と心 が触れ合ってしまい、金を引き出せずにいると、街で寿子(宮崎あおい)という女性と出会う。
寿子は、母・鳴子(宮崎あおい・二役)の恋の軌跡をたどろう と、とある場所へ向かっていた。
「中心人物 (岡田君)」
ひとりの青年にまつわるエピソード。いろんな背景が交錯する。
そして最後には全てが通じる。
劇団ひとりの小説であり、彼の芸風というか”多重人格”のような世界観がふんだんに使われています。
パチンコで借金まみれになり、オレオレ詐欺を働こうと偶然かけた電話に出た老女。
シンヤは老女の息子らしい「健一」という青年を装うが電話で話している内に、亡くなった自分の母を思い出し、借金の事をうまく話せなくなってしまう。
やがて、老女が亡くなった事を知り初めて家を訪ねるシンヤの目に入ったのは
仏壇に置かれた「健一 二歳」と書かれた写真。
そして、テーブルの上のお菓子の缶と白い封筒に入った手紙。「健一さん、お金は用立できました。
どうぞ、お使いください。その代わりにと言っては何ですが、私からも一つお願いがあります。
これからも時々、電話をください。
健一さんの話を聞かせてください。家族で行った旅行の話を聞かせてください。
眠れない夜、私は何の絵本を読んであげましたか?運動会の日。
受験の日、私は貴方にどんな言葉をかけましたか。
卒業の日。結婚の日。
その日の貴方に、私が言った言葉を聞かせてください。
私は良い母親でしたか。
私は貴方を幸せにできましたか。
貴方と私が生きてきた話を聞かせてください。」
母を失った事から未だに立ち直れないシンヤ。
2歳で子を失い孤独に生きてきたジュピター。電話は時を越えて2人を親子にしていた。
シンヤは母と、ジュピターは健一と再び巡り会うことができたのである。
だから
きっとジュピターの最後は安らかだったに違いない。
シンヤが「風邪をひいた時はモモ缶を食べるといいよ」
と勧めた通り
台所にはモモ缶を食べた後が残っていた。
陰日向に生きる人々の日常を何気なく切り取ったストーリー。
その人生は大きな空から見たら何の輝きも無く踏めばすぐに潰れてしまう小さな雑草のような物かも知れない。
でも、こうやって少しずつ糸が繋がるように結ばれていく奇跡。
見終わって心がちょっと温かくなる作品ではある。
劇団ひとりやバカリズムのネタ(考え方や感性)に共通して見えるものがある。
人をよく観察しているなぁということである。「あぁこんな人いる」「知ってる誰か」がしたかのように描ける。それが強みだと思う。
作中の名言
「俺はずっとひとりだったんだぞ。それくらいいいだろ。」
SNSの反響・盛り上がり↓
劇団ひとり「陰日向に咲く」
ギャンブルにハマった人、ホームレスの人など、必死に生きている人たちが主人公の作品でした。皆それぞれの境遇があってそれぞれの花を咲かせて、ひまわりみたいなおっきな花でなくても、ひっそりと力強く咲くたんぽぽみたいに、生きてきたいなと思いました。 pic.twitter.com/aAEop7pPXQ— ぽん (@6DJCofkzFNIiBhi) May 5, 2020