【タイトルとあらすじ】
「君の名は」
1000年ぶりという彗星の接近が1カ月後に迫ったある日、山深い田舎町に暮らす女子高生の宮水三葉は、自分が東京の男子高校生になった夢を見る。
日頃から田舎の小さな町に窮屈し、都会に憧れを抱いていた三葉は、夢の中で都会を満喫する。一方、東京で暮らす男子高校生の立花瀧も、行ったこともない山奥の町で自分が女子高生になっている夢を見ていた。
心と身体が入れ替わる現象が続き、互いの存在を知った瀧と三葉だったが、やがて彼らは意外な真実を知ることになる。
映画とも言えない、アニメとも言えない
RADWINPSの壮大なPVのように、各所で音楽と映像の調和がある。特にイントロダクション部分であるタイトルコールまでは、スピード感あふれる映像と音楽の掛け合い。
もうアニメの延長だったね。
通常、映画では30分アニメのような「オープニングテーマ」なんてないのだから。
映画ではなくアニメスペシャルを見ているような感覚。普通の映画ではありえない、サウンドトラックならわかるものの「ボーカル入りの音楽」が前半からガンガン流れる。
そのとっつきやすさが、過去の新海誠作品にない親しみやすさを出しているんじゃないでしょうか。
3年前との入れ替わり、タイムリープもあるSFチックな要素は相も変わらずありますが、現代風(飛騨をメインでもってきたのが功を奏したか)にド田舎を描写し、スマホやらブログやらと東京っぽさが出ている。
・秒速5センチメートル ・雲の向こう
ちなみに上記過去2作品とも私はDVDを所有しています。
ともに、喪失をテーマにし、観た後染み入るような感覚の映画です。
これらは少し浮世離れというか、現実の感覚がない作品でしたが、逆に澄んだ気持ちになりたい時にはおすすめです。
ゼンゼンゼンコク
全国興行収入:
194億円(2016年11月27日時点)
歴代邦画3位の「もののけ姫」(1997年公開、193億円)を抜いたそうです。
「ハウルの動く城」が公開された2004年以来、邦画歴代ランキングは1位から3位までスタジオジブリの宮崎駿監督作品が独占してきました。
それが、12年ぶりに動いたんです。
これから年末に向けてまだまだ伸びる。
もう一回俺も観に行こうかな。
追記(12/17):
先日、NHK「クローズアップ現代+」にて君の名はがヒットした『分析』をしていた。
要点として5つあげられていた。私も共感した。
1 圧倒的なリアルさ
リアルな風景。現実と見まごう美しさ。
2 ”あの巨匠が育てた”作画監督
安藤 雅司。千と千尋の神隠しでも担当していた、アニメ界の有名な人。
コミカルな動き。(女走りする瀧君とかね)恥じらいやとまどいを生き生きと表現するうまさ。ジブリっぽさがあったのはこれが要因だったのか。邦画興行収入1位の作品を担当していた安藤 雅司本人が君の名はでまた追い越すのか。
安藤 雅司すごいな。
3 観客を置いていくほどのスピード感
総カット数1,650。
つまり平均4秒以内に絵が切り替わるスピードあるコマ割り。これは観客をちょっと置いていくのが狙いらしい。そうすることで観客は逆に集中して見ようとする。
プロデューサーの川村元気さんが語っていた。
5 日本伝統のモチーフ
夢の中で出会う。男女が入れ替わる。
この設定は実は平安時代にまでさかのぼる。古典の勉強してた人にはなつかしい、
そう「とりかへばや物語」である。
また小野小町の作品にも夢物語の一説がある。
思ひつつ
寝ればや人の見えつらむ
夢と知りせば
覚めざらましを
by 古今和歌集
古文懐かしい!!!そして美しい!!!
夢で出逢った愛する人を思うこと。それが千年の時を超えて、日本人の琴線に触れたのだ。
新海誠監督もインタビューにてこう語っている↓
”夢で真実を知るっていうのは
実際の生活の中で繰り返し語られてきたこと。
僕らの実感でもあると思う。夢で本当に自分が好きな人は誰なのか、知るということ。
僕らの実感がこの物語にマッチした。”
「没入感」。聖地巡礼したくなる「参加感」。
番組後半にマーティ・フリードマン(彼もすっかり日本人の心を持っているよね。日本のアニメ詳しい人。一流ギタリストだったのに)が言っていた。
日本人は外国に比べてもかなり、お年寄をたいせつにする文化があるという。
この映画の一番大事なコンセプトにおばあさん(ミツハ、ヨツハの)があるんじゃないかという。
遠い長い歴史のつながり、家族のつながり。
一番のポイントはそう、劇中でもあった言葉、
結び