先日「NHKスペシャル ボブ・ディラン ノーベル賞詩人 魔法の言葉」という番組見ていた。ノーベル賞授賞式をボイコットした自由奔放人。
今、アメリカで一番出逢うことができない人。
番組の中ではさまざまな楽曲の紹介とともに彼の生きざまの特集をしていた。
デビューから3年後の1965年の話。
とあるライブでエレキギターを初めて持ち、激しく揺さぶるように歌うようになった。
フォークソングを期待していた会場はブーイングを巻き起こしていた中、新曲であの名曲が出てきたらしい。
【曲の情報】
リリース |
---|
「ライク・ア・ローリング・ストーン Like A Rolling Stone」
文学的な歌詞。音楽の在り方を変えたきっかえとなる名曲。
Once upon a time you dressed so fine
You threw the bums a dime in your prime, didn’t you?
People’d call, say, “Beware doll, you’re bound to fall”
You thought they were all kiddin’ you
You used to laugh about
Everybody that was hangin’ out
Now you don’t talk so loud
Now you don’t seem so proud
About having to be scrounging for your next meal.
むかし君はいかす服をきて
乞食に小銭を投げていたよね
みんな「いつか終わる」と言ったのに
冗談だと思ったのかい?
君は高笑いをしながら
周りのものを笑い飛ばした
だけど今は違う
君は誇りを忘れたように
食べ物の算段をしながら暮らしてる
これはある女性の物語のようです。羽振りのいい女性がいた。学歴も富もある。付き合う男性は外交官ばかり。華やかな日々。街のホームレスに投げ銭をしてキャハハと笑う、高飛車な人。それが今ではたった一人で、帰る家もない。
まさに流転の人生。ロックの歌詞に史上初めてストーリーが入ったことが当時センセーショナルだったらしい。
How does it feel
How does it feel
To be on your own
With no direction home
Like a complete unknown
Like a rolling stone?
どんな感じだい(どんな気がする)?
どんな感じだい(どんな気がする)?
一人で生きるって?
帰る家がないってことは?
誰にも相手にされず 誰からも知られてないってことは?
転がる石のようだってことは?
(ライク・ア・ローリング・ストーン)
転落人生。挑発的な問いが繰り返されるサビ。きつく詰問する。
ポイントとしては、サビのほとんどは具体的な問いが歌われていくのに、
(例:「どんな感じだい?一人で生きるって?」)
最後の1小節だけは比喩ということなのだ。
(例:「転がる石のようだってことは?」)
どんな気がする?
ひとりきりってことは?
帰る家がないってことは?
誰からも知られていないってことは?
転がる石のようだってことは?
番組最後に、実はこのライクアローリングストーン(転がる石)の解釈は2つあるらしいという話がありました。
一つは、
転落、脱落、落ちこぼれていくさまを語っていること。
完全なるマイナス。
もう一つは
しがらみから解放された自由な生き方。
ポジティブな未来。
聞き手にゆだねるその解釈。転落したのか自由になったのか。
この記事を読んだみなさん、「どんな気がする?」